大村湾ネイチャートリップについて

設立趣旨

 人の営みが自然から離れたことで、様々な課題が生じています。後継者不足や物価高騰などにより離農が進み、耕作放棄地や放置林は毎年増加しています。荒れた土地は地下の水循環を阻害し、土中環境の悪化を促進します。それにともない、山からの栄養塩が滞り、大村湾は磯焼けが広がり、過去20年で漁獲量が四分の一以上減少しています。
 また、大村湾沿岸の中山間地域では、若年層の市外流出により人口減少が進み、少子高齢化の進展や集落の維持が大きな課題となっています。

 わたしたちは、「大村湾沿岸地域の命の源・大村湾」の再生に対し、大村湾沿岸地域住民が連携しあい、各々の地域の伝統的技術や暮らしを継承しつつ、森、川、里、海の循環に関する自然環境保全事業や、持続可能な社会づくりに寄与できる人財の育成、これらに関する広報活動を行い、自然環境と調和する持続可能な社会づくりに貢献したいと考えています。

設立に至るまでの経緯

 中山間地域での農林水産業に関して、里山では耕作放棄地や放置林が増加、海では磯焼けが広がっています。こうした中、森、川、里、海の循環を念頭に、土中環境や水循環の再生を試みていますが、過疎化が進み人の手では追いつかないうえ、中山間地域であるが故に起伏が激しく重機が使えない土地が多くあります。

 そこで、長崎県西海市西彼町にて、動物と協働した環境再生型農業に取り組んできました。畜産部門においては耕作放棄地に牛を放牧することで土中環境を再生し、過去5年間で東京ドーム5個分の
海底湧水のワークショップ(海底湧水を採取して塩作り)を実施したり、同時に人工林の間伐を継続して実施してきました。

 一方で、大村湾の状況は年々悪化しています。そこで、大村湾沿岸域地域住民一丸となって問題解決に取り組む必要があると考え、さらに活動の規模の拡大と普及を図るために、設立に至りました。