4月19日、BS朝日の番組『バトンタッチ〜SDGsはじめてます〜』で、長崎県西海市にある森川放牧畜産が特集されました。

一年間、森川夫妻と現場密着させていただき、牛たちの姿を間近で見てきましたが、今回の放送では、その魅力が丁寧に映像で伝えられていましたし、改めて活動の規模や広がりを感じました。
森川放牧畜産が取り組んでいるのは、単なる「放牧」ではありません。牛が草を食むことで、かつて耕作放棄地だった土地が少しずつ蘇り、緑を取り戻していく。その風景はまるで、時間をかけて絵を描くように、自然がゆっくり息を吹き返していく過程そのものです。
映像に映った放牧地には、段々と広がっていく緑の絨毯。その手前は、もともと田んぼだったところ。そして奥は、果樹園だった斜面。牛たちが歩き、草を食べ、糞を落とし、土を踏みしめる。その一つひとつの営みが、目には見えない土中の世界を変えていきます。


番組の中でも紹介されていたように、森川放牧畜産では、一般的な肉牛のように2〜3年で出荷するのではなく、15年ほど共に暮らしてから出荷するスタイルをとっています。これは、アニマルウェルフェアの観点からも画期的で、牛にとっても、人にとっても、持続可能な関係性を築く第一歩です。
そして何より、放牧によって再生されるのは“土”だけではありません。
この場所の改善された土壌は、雨水をしっかりと保ち、ゆっくりと海へと流れていきます。山から海へ――。この水の循環が整うことで、海の環境、ひいては藻場(海藻の森)まで再生されるのです。


実は、こうした森川放牧畜産の取り組みに共鳴して、先日、熊本県立大学の島谷幸宏先生や熊本大学の皆川朋子先生たちとともに、研究チームを立ち上げました。
放牧と水循環、山と海、命と命のつながり。これらを学際的に研究していく第一歩です。
「この規模の耕作放棄地を、このスピードで再生することは、人の手だけでは不可能。けれど、牛ならできる。」
森川さんの言葉が、今回の番組を通じて、多くの人の心に届いたのではないかと思います。
TVerやABEMAで4月26日まで見逃し配信もされていますので、ぜひご覧ください。
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牛たちが歩いたあとの土の匂い、風の流れ、水の音。
それらが未来につながっていくことを、これからも一緒に見つめていきたいと思います!
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